ギュルハネ勅令(- ちょくれい、Hatt-i Sharif (Hatt-ı Şerif) of Gülhane)はアブデュル=メジト1世治下のオスマン帝国で、1839年に外相ムスタファ・レシト・パシャによって発布されタンジマートの端緒となった勅令。ムハンマド・アリー問題をめぐる列強の干渉を背景としていたため、帝国内キリスト教徒の人権擁護に重点が置かれた。それまでオスマン帝国の人々は、ムスリムとズィンミーという二分法に基づきムスリム優位下の不平等の下で共存していたが、オスマン帝国の君主たるスルタンによる平等の扱いに浴すべき対象は、イスラムの民(ムスリム)と他の諸宗教の民(非ムスリム)であることを宣言した。
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本来この文書は、スルタンの発給する文書中、「勅令」と訳しうる「フェルマン」ではなく、それより重要度の高い「ハットゥ・ヒュマユーン」の形式で発せられたものであり、「自筆勅令」ないし「勅書」とすべきものである。ギュルハネという名はトプカプ宮殿の庭園(ギュルハネ)から。
内容
150年来、オスマン帝国がかつての繁栄を失い衰退しているのは、シャリーアとスルタンの制定した種々の法とが守られなかったからである。
良好な統治を行なうため、今後新たな法が制定される。
生命、名誉、財産の保障が重要であり、それらが保障されれば、人は国家、国民、祖国のために献身できる。
国土防衛のために必要な軍隊を支える費用の源泉が租税である。
公正な徴税が必要であり、不正な徴税請負制は廃止される。
祖国守衛ため兵役に就くのは民の義務だが、徴兵の方法も人口に応じ、期間も交代制を導入して4~5年とするなど、民の事情を考慮して改善される。
以上のような新法の制定によって、力と繁栄と平穏と民の休養が得られるはずである。
公正な裁判の実施が必要であり、判決前の死刑は廃止される。
名誉と自由な財産の保有とその相続が保障され、不法な財産没収は廃止される。
帝国住民は全て、ムスリムも非ムスリムに関わらず生命、名誉、財産が保障される。
高等司法審議会の委員が増員され、参加する高官たちは自由な発言を保障され、自由討議の後に定められた法がスルタンによって裁可され、発効される。
シャリーアの諸法は、宗教と国家と国土と国民の再生のためのもの故に、スルタンもこれに反しないことを誓う。
全ての者が法に従い、違反者を裁くべく刑法が制定される。
官僚には十分な給与を支給するため、国土荒廃の大きな要因である賄賂は禁ずる。